Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

日本国憲法施行70年を迎えるにあたっての会長声明

 

 本日、日本国憲法が施行されてから満70年となる憲法記念日を迎えた。

 日本国憲法は、アジア・太平洋戦争への痛切な反省を踏まえ、「諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し」(前文第1項)制定された。

 そのような国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とする日本国憲法のもとで、主権者たる日本国民は、すべての国民が個人として尊重される社会、戦争をしない平和国家を築くべく努めてきた。

 しかしながら、昨今の憲法をめぐる情勢は、上記の基本原理や、個人の権利・自由を確保するために憲法により国家権力を制限しようとする立憲主義の理念に照らし、極めて憂うべき状況にある。

 例えば、2013(平成25)年12月に成立した特定秘密保護法は、「特定秘密」の範囲が広範かつ曖昧で、報道機関の取材・報道の自由や主権者である国民の知る権利を著しく制約するものである。また、2015(平成27)年9月に制定された安保法制は、従来の政府の憲法解釈を変更して、それまで長年認めてこなかった集団的自衛権の行使を容認したものであるが、そのような憲法の平和主義の原理に関わる重大な解釈変更を憲法改正手続を経ずに行ったのは、まさに立憲主義に反する。さらに、いずれの法律の制定過程においても、国民世論が強い反対意見を表明したり、慎重審議を求めたりしているにもかかわらず、国会で採決が強行されて法律が成立した遺憾な経緯がある。

 こうした情勢のもと、主権者たる国民は、いま一度、日本国憲法制定の原点に立ち返り、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理やそれを支える立憲主義の意義を再確認するとともに、これらを国に遵守させ、日本の進路を決して誤らせることのないようにする必要がある。

 よって、日本国憲法施行70年の憲法記念日を迎えるにあたり、当会は、基本的人権の擁護を使命とする弁護士の団体として、改めて日本国憲法の基本原理と立憲主義の意義を確認し、市民とともに、その堅持に向けた取組に引き続き全力を尽くす決意であることをここに表明する。


2017年(平成29年)5月3日
山形県弁護士会
会長  内藤 和暁


上へ

Copyright © 2004-2015 Yamagata Bar Association,