Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

全面的な国選付添人制度を求める会長声明


  1. 弁護士付添人は,少年審判において,非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう,少年の立場から手続に関与し,家庭や学校・職場等少年を取りまく環境の調整を行い,少年の立ち直りを支援する活動を行っている。少年審判において,心身ともに未熟な少年を受容・理解したうえで,少年に対して法的・社会的な援助をし,少年の成長・発達を支援する弁護士付添人の存在は,少年の更生にとって極めて重要である。

  2. 子どもの権利条約第37条は,「自由を奪われた全ての児童は,弁護人と接触する権利を有する」と規定し,身柄拘束を受けた少年には,弁護士と接触する権利が保障されなければならない,としている。又,少年鑑別所に収容された少年は,少年院送致や児童自立支援施設送致等の重大な処分を受ける可能性が高い。しかし,現実には多くの少年や保護者には,弁護士付添人を選任するための費用負担の資力がなく,又,保護者が少年のためにこれらの費用を負担することに消極的な場合が多い状況がある。

  3. 非行を犯したとして家庭裁判所の審判に付された少年は,2008年で年間54,054人であり,そのうち観護措置決定により身体拘束された少年は11,519人に上るのに対し,弁護士である付添人が選任されたのは4,604人であり,身体を拘束された事件のうち,40パーセントに過ぎない。

  4. 日本弁護士連合会は,少年が希望すれば無料で弁護士が面会する当番付添人制度を全国で実施するとともに,すべての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し,これを財源として弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を拡充してきた。
    当会においても,当番付添人制度を実施するとともに,被疑者国選弁護人が選任された事件については,家裁送致後も引き続き付添人をして活動しうる態勢を整備してきた。特に,平成22年10月からは,観護措置により身柄を拘束された全ての少年について,本庁以外の全ての支部においても,当番付添人の制度を拡大して整えた。

  5. 既に,成人の被疑者・被告人については,広範囲で国費による弁護人が選任されている状況であることと比較すれば,より必要性の高い心身ともに未成熟な少年についても,本来,国費によって弁護士付添人を選任できる権利を保障すべきである。既に述べたとおり,観護措置決定により身柄を拘束された少年については,事件の軽重を問わず,弁護士付添人の援助は必要不可欠である。
    よって,当会は国に対し,少年法を改正し,少なくとも観護措置決定により身柄を拘束された全ての少年を対象とする,国費による国選付添人制度を創設することを求める。

2011年(平成23年) 1月17日
山形県弁護士会
会 長  高橋 健


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