Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあたっての会長声明


 2010年(平成22年)11月26日に,さらに1年間,司法修習生に対する貸与制の施行を延期する法律が国会で可決され成立いたしました。

 これにより,同月27日から司法修習が開始される新第64期司法修習生に対して,従前の制度と同様の修習費用の給費が実施されることとなりました。

 今回の法改正の趣旨は,昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ,それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう,給費制が継続される1年間のあいだに,法曹養成制度に対する財政支援の在り方について政府及び最高裁判所の責務として見直しを行うこととされております。また,附帯決議の2項では「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え,その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」を求めています。このような改正法の内容は,給費制の完全な復活とはならなかったものの,「司法制度改革審議会意見書」(2001年(平成13年)6月12日)に基づき,この間取り組まれてきた司法改革を「第一次司法改革」と位置づけ,これをさらに検証・発展させ,市民目線で「第二次司法改革」に取り組んでいる日本弁護士連合会,そして山形県弁護士会の方針に一致いたします。

 困難な国会状況のなかで改正法の成立に並々ならぬ御尽力をいただいた各政党・国会議員の方々,最高裁判所,法務省の皆さん,この法改正のための活動に御協力いただいた市民団体,消費者団体や労働団体による「司法修習生の給与の支給継続を求める市民連絡会」や法科大学院生,司法修習生,新人若手弁護士らによる「ビギナーズ・ネット」に心から感謝いたします。

 今回の法改正の過程では,国会や政府,報道関係者の一部から「すべての法曹が公共的な職務を遂行しているといえるのか」「経済的に困難な者に対する支援はもっともだが,経済的に裕福な者に対してまで給費する必要性があるのか」といった問いかけを受けました。日本弁護士連合会,そして山形県弁護士会は,これまで以上に弁護士の公共的使命を自覚し,人権擁護,法律扶助制度の拡充や過疎偏在対策などに取り組んでいきます。日本弁護士連合会は,これまでにも,「新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言」(2009年(平成21年)1月16日),「市民の司法を実現するため,司法修習生に対する給費制維持と法科大学院生に対する経済的支援を求める決議」(2010年(平成22年)5月28日)などの提言を行ってきましたが,この法改正を受けて,山形県弁護士会でも給費制の維持を含む法曹志望者に対する経済的支援の在り方を再検討するとともに,法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の理念をふまえつつ,法曹養成制度全体の見直しについて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。


2011年(平成23年) 1月25日
山形県弁護士会
会 長  高橋 健


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