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2014年2月28日
特定秘密保護法の廃止を求める決議
2013(平成25)年12月6日,第185回国会において,特定秘密の保護に関する法律(以下「本法律」という。)が制定された。
本法律は,国民主権の原理を揺るがし憲法が保障する諸々の基本的人権に脅威を与える懸念があることから,当会でも同年11月19日に会長声明を発するなどして警鐘を鳴らし,日本弁護士連合会や各地の弁護士会とともに,その制定に反対する意思を表明していたところである。
当会等が指摘してきた本法律の問題点は,①行政機関の長が指定することのできる「特定秘密」の範囲が広範かつ曖昧であるため,その恣意的判断により本来国民に開示されるべき重大な情報が隠蔽される危険があり,しかも一度特定秘密に指定すれば半ば恒久的に秘匿することが可能となること,②「適性評価制度」の導入により幅広い国民の個人情報が収集され,国民のプライバシーの権利が危険にさらされること,③「特定秘密」の漏えい行為や取得行為については,過失犯や共謀,教唆,煽動まで広く処罰の対象となるうえ,国民の側からはそもそも何が特定秘密として処罰されるのかを予測することが困難なため,国民の国政に関する情報に対するアクセス,ことに報道機関の取材活動に対する萎縮効果は計り知れず,報道機関の取材・報道の自由,ひいては主権者である国民の知る権利を著しく損なうこと,④国会議員も処罰の対象であるため,特定秘密を知得した国会議員が当該秘密に関して同じ会派の議員や専門家に相談をすることすらできず,国会の行政に対する民主的コントロール機能を後退させること,⑤特定秘密の漏えい等に関して起訴された場合,対象となる特定秘密の内容が明らかにならない状態で裁判が進められ,適正な裁判を受ける権利までも失われるおそれがあることなどであり,他にも多くの問題点が存する。
そのため,本法律に対しては,日本弁護士連合会や各地の弁護士会のみならず,学者,報道機関,作家,映画監督などを含む広範かつ多数の国民から,本法律の制定に反対する意見や慎重な国会審議を求める声が続々とあがっていた。衆議院での採決前に福島市で開かれた地方公聴会では,7名の公聴人全員が反対の意見を述べたほどである。さらに国連人権高等弁務官からも,秘密の要件が明確でなく,これでは政府がどんな不都合な情報も秘密に指定できてしまうとの懸念が示されていた。
したがって,本法律案の国会審議は,そうした反対意見に耳を傾け,国民に対する説明を尽くして,慎重なうえにも慎重になされるのが民主国家として当然の姿であるところ,政府与党は,上記のような強い反対意見や慎重審議を求める国民世論を振り切って,本法律案が国会へ提出されてからわずか1か月半あまりの短期間のうちに,衆議院でも参議院でも採決を強行し,本法律を成立させた。これは,本法律の内容のみならず,手続的にも国民主権,民主主義の理念を踏みにじる暴挙といわなければならない。当会はこれに強く抗議する。
本法律は2013(平成25)年12月13日に公布され,公布後1年以内に施行されることになっているが,上記のとおり本法律は,到底看過することのできない憲法原理に関わる重大な問題を数多く含んでおり,抜本的な見直しがなされるべきであって,その観点から当会は本法律の廃止を求めるものである。
以上のとおり決議する。
2014年(平成26年) 2月28日
山形県弁護士会
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