本日,日本国憲法が施行されてから67年目となる憲法記念日を迎えた。
日本国憲法は,前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」,「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし,平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権も認めないとする徹底した恒久平和主義を規定している。
そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。
ところが現在,政府は,これまでの政府解釈を大きく変更し,しかも憲法改正手続を経ずして,内閣の閣議決定により,集団的自衛権を容認しようとする動きを示している。
しかし,この集団的自衛権の行使容認は,自国が攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。
また,このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更を憲法改正手続を経ず,時々の政府の判断で行うことは,憲法を最高法規と定め,国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課して,政府や国会を憲法による制約の下に置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。
よって,当会は,恒久平和主義を守り,立憲主義を堅持する観点から,政府の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認の動きに強く反対の意思を表明するものである。
2014年(平成26年) 5月3日
山形県弁護士会
会 長 峯田 典明