本日、日本国憲法が施行されてから満77年となる憲法記念日を迎えた。
2022年2月に開始したロシアによるウクライナ侵攻は未だ続いており、2024年2月15日時点におけるウクライナの民間人の死傷者数は合計3万457人にのぼるとされている(国連人権高等弁務官事務所発表)。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻に終わりが見えないまま、イスラエルで新たな紛争が勃発している。ガザ地区を拠点にしているハマス等パレスチナ武装勢力がイスラエルへ無差別攻撃を行い約1200人が死亡した2023年10月7日以降、イスラエルは、ガザ地区に大規模空爆などの激しい攻撃を繰り広げている。攻撃の対象は病院や学校などにも及び、2024年4月7日時点で死者は3万3137人を超えたとされている(ガザ地区当局の発表)。
そのほかにも世界中では武力紛争が絶えず起きている。そこでは、多数の人が巻き添えになり、難民となり、「恐怖と欠乏」を強いられている。
国内に目を向けると、2022年12月16日に閣議決定された「安保三文書」に基づき、沖縄南西諸島への自衛隊駐屯地の開設とミサイル配備が進められている。石垣島には2023年3月16日に石垣駐屯地が設置され、沖縄南西諸島に「敵基地攻撃」が可能な「反撃能力」を装備することが検討されている。南西諸島有事が発生すれば、我が国も攻撃対象となるおそれがあり、ウクライナやイスラエルと同じことが起きる危険を孕んでいる。
いうまでもなく、戦争は最大の人権侵害である。
日本国憲法は、第9条で恒久平和主義を定め、前文で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と宣言している。
当会は、憲法記念日を迎えるにあたり、一刻も早く武力紛争の巻き添えになったウクライナ、イスラエル、パレスチナの市民に平穏な日常が戻るよう心から祈念するとともに、基本的人権の擁護を使命とする弁護士の団体として、改めて日本国憲法の理念と基本原理の意義、特に憲法9条や恒久平和主義の意義を確認する活動に取り組んで行く決意であることを表明するものである。
2024年(令和6年)5月3日
山形県弁護士会
会長 金 山 裕 之